わたしは今日もあなたの隣で


「…ナオくん」


私はベッドのそばに膝をついて、ナオくんの手を握る。


…よかった、あったかい。


「…さ…よ?」


人工呼吸器ごしのナオくんの声は掠れていて、私の目からは涙がボロボロと止まらなくなる。


「ごめっ…ナオくん。ごめんっ…」


「なんで…沙世が、あやま、るの…」


ナオくんは、苦しいはずなのに笑う。


ダメだ…私、本当にバカだ。


「私…私、ナオくんのそばにいてあげられなかった!辛い時に、あなたの隣にいてあげられなかった!私、ナオくんにそんな顔させたかったんじゃない!!」


喉がヒクついて、うまく喋れない。溢れた涙が口の中に入って塩辛い。


「俺も…だ、よ。」


「…え?」


「…俺も、沙世に、無理させたかった、わけじゃ、ない…」


「そんな…!」


私は首を振ったが、ナオくんは続けた。


「沙世、本当は、ずっと、泣いてた、だろ…」

< 20 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop