わたしは今日もあなたの隣で
「あ…ナオくん、私行くね」
「え、もう?」
私はいつものように笑って頷く。
「用事があって。ちょっと見に来ただけだから。お母さんにも頼まれたし」
こうやって、私はナオくんに嘘をついていく。
なんでだろうね。
私は祐美さんにもう一度会釈して病室を出た。
「沙世、ありがとう」
ドアの向こうから聞こえた彼の声に、私は返事をしない。
なんで、好きな人に嘘なんてつかなきゃいけないんだろう。