Convey The Feeling
茜色に染まる橋をゆっくりゆっくり渡る。
琢斗への片想いも、3年目突入。
3年もすれば、琢斗に彼女が出来た事だって、1、2回は見てきた。
だから、別に嫉妬はもうない。
わたしは告白するだけ無駄なんだし、そんな無駄な行動して、友達としても琢斗のそばに居られなくなるのは嫌だ。
「帰って旅行の準備しなきゃ」
「七海ー!」
「ん?……え、琢斗…」
「はぁ、はぁ、はぁ!お前なんだよ、来てるなら声かけろよ!」
「あー、いや…忙しそうだったから」
走って来てくれたの…かな。
「うそだな。マネージャーと話してる時に木陰に居たろ?俺の目はごまかせないんだよ」
え…見られてた。
「いや、…その…楽しそうだったから!」
あー、わたし何言っちゃってんの!
「はは、なんだ?嫉妬かよ!」
「ち、違うわよ!」
「冗談、冗談!はは」
はにかんだ笑顔。
「んで?」
「あー、うん…明日の試合に行けなくなったから、ちゃんと顔見て頑張ってって言おうかなって」
しーん…。
まずいなぁ、この空気。
「ほ、ほら!せっかく誘ってくれたのに、行けないから悪いな〜って…ね!」
「そっか、サンキューな」
ふわ。
琢斗の優しい手が、わたしの頭に乗る。
ぽんぽん。