アウト*サイダー
好きって、楽しいの?
どうして私には分からないの?
どうして皆は分かるの?
どうして……
「弁当、いらないの」
急に話しかけられて、持っていた箸を落としそうになる。
慌てて両手で掴もうとした私の手が、別の大きな手で包まれていた。
目の前には男の子の顔があって、思わず体を仰け反らした。
「よかった、落とさなくて」
宮永慧がほっとしたように私の目を見て言う。
日を浴びて透けた瞳がすごく綺麗だと思った。男の子に綺麗と言うのは可笑しいだろうけど。
「友達は?」
「ハルちゃんは茶道部の友達と用事があって……て、そんなことより手離してよ」
「あぁ、うん」
あぁ、うん……だって。その低めの声が私の耳に懐く。そんな表現があるかどうかは知らないが、全然嫌な感じがしないってこと。
「それで、何か用?」