アウト*サイダー
私に都合の良い我が儘だって知ってる。
ケイの気持ちを受け入れられないくせに、自分から逃げたくせにって。
でも……
『誰もあんたのこと好きになんないよ』
思い出したくない声が、忘れられない声が、意地悪く私を過去に戻す。
あぁ……結局、こうなるんだ。
「ハスミ、あの、俺……」
「ううん。もういい」
食べかけのお弁当に蓋をしてトートバッグにしまいこむ。
「えっ……ハスミ?」
早く立ち去りたくて、中のお弁当が可哀想にひっくり返ってしまっても勢い良く立ち上がった私の腕を、ケイが掴んで止める。
それでも階段を上って行こうとした時……それは不意打ちにやって来た。
耳元で音がするくらいの風がひとつ通りすぎていき、やけにスースーする足に目を落として……そして私は崩れ落ちた。
必死にスカートの裾を押さえたって、もう事は終わった後。僅かな希望をもってケイを見て……絶望。
「ピンクの……レース……」
真面目くさった顔をしてポツリと呟いた彼の鼻から、ツーと鼻血が流れ落ちている。
言葉にできない感情を滅茶苦茶に叫んでぶちまけたいのに、学校という空間によって抑え込まれる。やり場のないものを拳に溜める。