アウト*サイダー
二人分の呼吸と、時計の針の音。
ほかはよく聞こえない。
静かだった。
それが、無遠慮に引き戸をひくガラガラという耳障りな音で崩れた。
ゆっくり遠ざかるケイの温もり。
私も傾けていた体を元に戻して、扉の方に顔を向ける。
見覚えのある人物が、私達を見下ろしていた。それが誰なのか記憶と一致させるのに少し手間取った。
理由はすぐに分かった。
「あれ、宮永か。なんかごめんな、俺邪魔しちゃったよな」
サッカー部の堀江君だ。ケイと知り合いなのか彼は親しげに笑いながら「絆創膏取りに来ただけだから」とすぐに保健室を後にした。
「ケイ、友達なの?」
冷やした効果があったようで、彼のおでこにあった赤みはだいぶマシになっていた。けど、念のために保冷剤を彼に渡しておく。受け取った彼は軽く首を横に振った。
「友達じゃない。……何で?」