アウト*サイダー
見間違いかもしれないんだけど、と初めに言っておくが、それでも確信のない不安に言い淀みながら続ける。
「入ってきた時に私を見た表情が、すごく怖かった。ケイに話しかけてる時は前に見たことある笑顔だった……けど、一度も私を視界に入れなかった」
ハルちゃんに借りた傘を返しに来た時の堀江君は爽やかすぎる笑顔でいい人そうな印象だった。だから、さっき私と目が合った時の堀江君の印象と、記憶が合わなかった。
ほとんど面識のない人間にあんな表情向けるなんて。それか、あんな一瞬の出来事の内に私は、また人に嫌な思いさせていたのか。
まぁ、堀江君が爽やかだろうと、腹黒だろうと何でもいいけど。
「……って、ケイ? 何してんの」
「ん。怖がりなハスミを安心させてやろうと思って」
椅子に座ったままの私を、立ち上がったケイが包み込むように抱き締めて、そのうえ頭をヨシヨシ撫でる。
「屈辱っ……なんて、屈辱的なんだ!」
「破廉恥? そんな恥ずかしがらなくていいよ。俺達の仲だろ」
私はまたケイについての知識を身に付けた。こいつを調子に乗らせてはならない。……まぁ、今だけは特別に許してあげてもいいかな。