アウト*サイダー

* 沈む気持ち



 空気は目に見えない。

 それでも、私たちは空気を感じることができる。

 教室に入ると、いつもの昼休みに見る光景と変わらないはずなのに、いつもと違うものだった。

 その原因なんて見なくても察する。視線や、ひそひそと潜む陰口。

 こういう時、この小さな教室が、より小さく感じられる。それぞれが、それぞれの壁を私に向けているのだ。

 まぁ、壁を作られているのであれば、こっちも壁を作ればいい。

 ただひとつ、気がかりがあるとすればハルちゃんだ。河西さん達に囲まれていて、どうしているのかが見えない。囲まれていると言っても陰険なものでなく、それは一見すれば仲のいい様子で楽しそうに談笑している。

 だけど、明らかに河西さん達が楽しむ声だけで、ハルちゃんの声は聞こえない。

 大丈夫だろうか。

 無理してないかな。

 また爆弾を投下してやろうか。

 いや、今度はハルちゃんにも被害がかかる。……もう、そうなってしまっているのか。
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