アウト*サイダー
「あら、酷い顔」
家に入った途端にかけられた言葉に私は顔をしかめた。
「……ハスミ、そんな顔で店に入るな」
もっと、顔をしかめる。
一階が両親の営む小料理屋で二階が自宅になっている。店にはカウンター席しかなく、その中で母と父が開店準備をしていた。
どうしてだろう……体の中で嫌な塊が渦巻いて、無意識に力が入っている手に爪が食い込む痛みがそれを大きくさせる。
「普通、こんな顔の娘に、まず大丈夫かって聞くべきじゃないの!」
久しくこんな八つ当たりのような言葉をかけた私に、手元から顔を上げた父と母の視線が向けられる。
その瞬間、何だか居たたまれなくなり、私の中で大きくなっていたものが急激に萎んでいく。
仕事をしている二人の手を止めたくて、心配してほしくて……なんて、高校生にもなって何をやっているんだか。
「今日……学校の宿題あるから店、手伝えない」
素直に謝れないことにイライラして、それっぽい言い訳で二階に続く階段を駆け上った。