アウト*サイダー
* 子どもみたいに
今日の雨模様は愚図ついた天気、なのだそうだ。愚図るとは何か。赤ん坊が泣き止まないみたいな意味なんだろうが、どうしてそれを天気を表す言葉として使う?
お茶碗と箸を持ったままテレビの中の天気予報士を凝視する。けど、そそくさと別のコーナーに逃げ込まれてしまった。
「納得せんよ、私は」
首をひねってご飯に箸をブスッとさす。表面に乗った鮭フレークを全体に混ぜていく途中で、あることに気付く。
今しがた混ぜているご飯とピンク色の鮭フレーク。テーブルの上に置かれた湯気をたてるお味噌汁。毎朝、飽きもせず食べているこのメニューは、日本人の朝食の大定番である白米・鮭・味噌汁だ。
これを食べたいと思った訳でもないのに食べていて、これ以外の朝食が思い浮かばなかった。
遺伝子的なものなのだろうか、こうして何の疑問も持たずに受け入れているように、さっきの天気予報士も昨日から続いている雨に対して、何の抵抗もなく愚図ついていると表現するしかなかったのだ。
「お気の毒に……」
中途半端に混ぜられた鮭フレークが悲しげに茶碗の端からこぼれ落ちていった。
「ハスミ、鮭がこぼれてるぞ」