アウト*サイダー
愚図ついている雨が私の傘の上を、ポツポツ駆けていく。くすんだ空とは真反対の痛々しい水色の傘を。
本当は赤色の傘が欲しかった。……と、通園バックを肩からぶら下げた私が水色の傘を見上げて愚図る。その傘を買ってくれた祖母は、そんな私に冷たい目を向けた。
以来、自分で物を買えるようになっても水色の傘しか買わない。
買えないんじゃない。
私が買わないんだ。
家から徒歩十分の最寄り駅。忌々しい傘を閉じる。
改札を通るとちょうど電車が来るアナウンスが流れて、慌ただしく階段を上る人の波に私も加わる。
別に乗り損ねたって良かったのだけど、なんとなくこれに乗らなきゃいけない気がした。
電車に乗るときはたいてい後ろの車両だったが、ホームに上がってきたのと同時に電車が止まり、降りる人と乗る人が押し合い圧し合いしていて、掻き分けるのも面倒だ。私は階段からすぐの車両に乗り込んだ。