アウト*サイダー
「何でだよ! 俺も電車乗せてくれよ!!」
リョウスケがケイの肩を掴んで訴えるも、邪魔臭そうに振り払われた挙げ句、
「こいつは嫌だけど、ハスミは毎日でも電車乗ってくれていいからね」
……なんて、あしらわれ方をされて、リョウスケの口が尖る。
「わかった、俺が毎日お前の隣に来てやるよ!」
「……うわ、ウザ」
「何だとっ!?」
朝から、きゃんきゃんとうるさい奴らだ。互いの尻尾を追いかけ回している犬みたい。
うんざりし始めた頃、やっと降りる駅に着く。ケイの腕から脱け出して、そのまま素知らぬ顔で電車を降り、改札の方へ早足に向かう。
こんな人混みの中ならば私の足でも華麗に紛れ込んで追跡も無理だろう。スルリ、スルリ……と人の隙間をくぐり抜けて階段を下りた。
ふぅ、と小さく息を漏らして鞄からICカードを取り出す。それをピッと鳴らし、改札を通ろうとして……気付いてしまった。
両隣からもほぼ同時に改札を通る音がしていたことに。
そして、さも当たり前のように私の横に並ぶ二人。