アウト*サイダー
「今日一日雨みたいだな」
湿気になんて左右されないサラサラな髪を掻き上げて、煩わしそうな顔をする男子一名。
「ハスミ、こっちだけ髪はねてる。……可愛い」
自分のぴょんぴょんはねてる髪を無視して、私の髪をいじって楽しむ男子一名。
逃げ出すことに失敗した私は、リョウスケとケイを睨む……けれど、二人して「今日は一段と機嫌悪いなぁ」と可笑しそうに笑われる。
誰のおかげだよ! ……なんてキレたところで、この二人には意味もないだろうから、諦めて傘を広げる。
色とりどりの傘が駅から方々に散って行く中、ケイの深緑色の傘と、リョウスケの藍色の傘が隣でバン、バンっと開く。
その深緑色と藍色が私の嫌いな水色を真ん中にして挟んで、学校に続く道を歩き出す。そんな三つの傘を見比べて、私は言い様のない安心感を抱いた。
もし私の傘が赤色だったら、この二つに反する色味によって居たたまれない気持ちにさせられただろうから。
オセロだったならば挟まれて強制的にひっくり返されてしまうけど、そんな心配もないから。