アウト*サイダー

「あー、ダルい。今日、そういえば日直だった」

 雨を降らせている灰色の雲を傘越しに見上げて、大きく息を吐くリョウスケ。

「へー。……どうでもいいけど」

 左の口角をわざとらしく上げて皮肉るケイに、またこいつは……と呆れて溜め息が出た。案の定……

「少しは俺に興味を持て!!」

 馬鹿みたいにリョウスケがまたケイに突っかかろうとして、私の方に寄ってくる。

「リョウスケが日直だろうが教師の下僕になろうが、大して興味ないからハスミに近付くな」

 敵意むき出しの声と表情をするケイが、私の腕を掴んで自分の方へ引き寄せる。

「ちょっ! なんで俺をバイ菌みたいにして遠ざけんだよ!?」

 リョウスケがこちらに一歩近寄れば、ケイと、彼に捕まえられている私はその一歩分距離を空ける。

 完璧に面白がって遊んでいるケイと、必死に食い付いてくるリョウスケ。そして、私は……

「うるさいよ、バイキンスケ」

 当然、面白い方に乗っかる。

「なっ!? 誰がバイキンスケだ! ……あ、待てよっ、逃げんな!!」

 ケイと私はシニカルな笑みを浮かべ、それを合図にして一斉に走り出す。ワンテンポ遅れて後ろからリョウスケも追いかけてくる。
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