アウト*サイダー

 登校中の小学生たちや通勤途中の大人たちの視線なんか気にしないで、追いかけっこする私たちは、最近の“ダメな若者”なんだろうな。

 コンクリートの道は所々窪んでいて水溜まりになっている。走っている足が器用に避けられる訳もなく、そこに突っ込むと靴の中に水が入り込んで気持ち悪い。

 それに走る揺れで、傘なんてさしている意味がないくらいに顔面がべちゃべちゃに濡れる。けど……

「ほら早く、ハスミ!」

 小さな少年みたいな幼い笑顔で振り向いたケイに手を繋がれる。その瞬間、高鳴る胸。

 違和感に首を捻りながら、再び走り出そうとした私の肩に置かれた手。その手を辿っていけば、不機嫌な顔で息を切らすリョウスケがいた。

「俺から逃げきろうだなんて甘いぞ、お前ら。この元陸上部エースが地獄の果てまで追いかけてやるからな!」

「そんなことより、ハスミに触れるなバイキンスケ」

「お前だって、何ちゃっかり手繋いでんだよ!」

 私を板挟みにして睨み合う二人。

 その傍を低学年くらいの小学生達が通りかかって「シュラバだ、シュラバ~」と覚えたばかりであろう言葉を嬉々として使う。

 その瞬間、水浸しの靴下も、意味のない傘も、全部どうでも良くなって、声を出して笑っていた。
< 138 / 466 >

この作品をシェア

pagetop