アウト*サイダー
自分の濡れた制服を引っ張って「ほら見ろ!」と怒るリョウスケ。
私が悪いのは分かってるけど、そんな怒らなくても……と拗ねてみても、リョウスケは怒った顔で私の名前を呼ぶ。
「ごめんなさい、は?」
腰に手を当てて、目を合わせるように背を屈めるリョウスケに、こういう所はお兄ちゃんなんだなと場違いに感心した。
「ハスミー?」
「ごめんなさい……許して、リョウスケ?」
渾身の上目遣いで、しおらしく謝る。
けど、どうせ私がやったところで効果はないだろうな、と自分で思って悲しくなり俯く。リョウスケも私の上目遣いなんか見せられて気分が悪くなったかもしれない。もう一度、彼を見て……私は首を傾げる。
「リョウスケ……どうしたの?」
名前を読んでも暫く固まったまま身動ぎ一つしなかったが、私の視線に気付いた彼は急に背を向けて歩き出していた。
そ、そんなに嫌なものだった!?
「リョウスケ、待ってよ! ほんとゴメンって、そんな怒んなくても……」
「怒ってるんじゃなくて照れてるんだよ、ハスミ」
ハンカチで制服を拭いていたケイが後ろからボソッと呟いた。