アウト*サイダー
* 二人だけの踊り場
「はぁ、今日の運勢マジで最悪だ」
先生から解放されて昇降口まで来たところで、リョウスケが辛気臭く息を吐いた。
「リョウスケが素直にダイに捕まってれば、私までこうならなかったのに……」
ジトー……と恨めしい目を向けた私に、リョウスケは知らん顔して自分の靴箱へ足を速めた。そんな彼に聞こえるような盛大なため息をしてあげて、私も靴箱に向かう。
上靴を雑に落とし、そして自分の足元を見てみる。見るからに汚れたそれに、あーぁ、と肩を落とした。
汚れたローファーは何かで拭けば良いだけだが、濡れた靴下は今すぐにどうにかなるものではない。
今日一日を湿った靴下で過ごすか、素足に上靴という醜態を晒すか。
究極の選択を突き付けられ、ファイナルアンサーを迫られる。何事もないかのように涼しい顔をしながらじめじめに泣くか、開き直って後ろ指を指されるか……なんて、どっちを選んだって最悪。
リョウスケが言ったとおり運勢悪すぎて、逆に笑えてくる。
最後の賭けとばかりに、諦め半分で靴箱を覗いた私の目に留まった物。それは2段になっている靴箱の下の方で小さく丸まっていた。