アウト*サイダー

 脅かさないように、怖がらせないように。静かで優しいケイの声。

 彼は私から三歩分離れた所で待っていた。

「驚かせちゃって、ごめん」

 返す言葉が見当たらなくて、寄せ集めた髪の毛を元に戻しながら下を向く。

 ケイが一歩前に進んだ。

「靴下、そんなに変じゃないよ」

 ダイとリョウスケが笑っている時、ケイは笑ってなかったな。

「ハスミの女の子らしさは、人には見えない所にあるもんね」

 言葉の意味が理解できずに彼を見る。はにかむケイの耳がうっすらと赤い。

「……あ」

 もしかして……もしかしなくても……この間の、スカートが風でめくれた時のことを言ってる!?

 今度は怒りで顔を赤くする私が抗議しようとする前に、ケイはもう一歩分距離をつめた。

 十分近いその距離を、彼は前屈みになって更に近付く。

 他の皆が見てる……と言おうとして、周りに人がいないことに気付く。リョウスケとダイはいつの間にか私達を置いて行ったみたいだ。

「ハスミの声……すっげぇ可愛かった……」

 耳に顔を寄せて囁かれる。

 何か言わなきゃ、と思えば思うほど口が言うことを聞いてくれなくて困る。
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