アウト*サイダー
熱すぎて、苦しい。
ケイの言葉も、表情も、全てが恥ずかしくて……別に嫌な訳でもなくて。それがどうしてなのか分からないから、何を言えば良いのかも分からない。
耳元から顔を離したケイと目が合って、でも、私はすぐに目をそらしてしまった。
頭上で鳴るチャイム。
離れていくケイ。
私の視界の隅に居たケイが完全に消える。
『行かないで』
その言葉が口から出せなくて、代わりに顔を上げて彼を追いかけようとしたが……
「ん? どうしたの、ハスミ」
思ってるよりも近くにいたケイが床に落ちていた傘を拾って、キョトンとした表情を私に向ける。
さっきのパニックによって無意識の内に自分の傘を落としていたらしい。それをただ取りに行った彼に焦って、追いかけようとしていた……なんて絶対に言いたくない。
「なんでもない。はやく教室行こ」
ケイの手から傘を半ば奪い取るようにして歩き出す。
「えー? ……変なの」
相変わらず余裕綽々な態度が鼻につくなぁ。
私が先に歩いていてもすぐ隣に現れて、見上げると気持ち悪いくらいにニコニコして。
「ちょっと近すぎなんだけど」
「そう? 俺的にまだ遠慮してる方なんだけど」