アウト*サイダー
どこが? 普通に肩が当たりそうなくらいなのに。
「ハスミが俺と付き合ってくれるまで、俺も紳士でいようと思うから」
覗き込むように顔を近付けさせるケイを、はいはいと頷きながら押し返して距離を取る。
でも、階段を上がってる途中で彼が隣にいないことに気付いて後ろを振り向くと、ケイは私を見上げたまま立ち止まっていた。
その真剣な表情に、軽々しく言葉をかけるのが躊躇われて口籠る私にケイが手を伸ばす。伸ばされた手は私の手を取って、優しく包み込んだ。
「だから、ハスミが嫌がることはしない。さっきも、ごめん。それから……キスしたことも、ごめん」
本気で反省しているらしい彼は俯いて、弱々しく私から手を離そうとする。
全然、気にしてないと思ってた。いつも余裕があって、私が振り回されてばっかりだと。……けど、そんな姿見せるなんて、やっぱりケイはずるい。
離れてしまった手を繋ぎ止める。
「ハスミ?」
「……許す」
「え?」
「別に嫌だったとか、そんなんじゃないから謝らないで……落ち込まないでよ。ケイが元気ないと、私も調子狂うし、そもそも嫌なら、こんな風に一緒にいないから」