アウト*サイダー
近すぎる距離に、触れられた頬から広がっていく熱に、呆ける私の顔はどんなものなんだろう。女の顔って、変な顔してるんだろうか。
何も、分からない。
……ひとつ、分かるとしたら、それはケイの前だけの顔だということ。
こんなに余裕がなくなるのも、彼の行動を気にするのも、私から彼が離れていかないようにしたいのも、ケイだけ。
「いつも俺のこと興味無さそうなのに、たまにそうやって勘違いさせるような目を向けてくる。はっきりさせようとしても適当にあしらって終わらせる」
溜め込んでいたものをさらけ出すようなケイの言葉。
「それでも惚れた弱みってやつなのか、俺にだけそんな顔を見せるハスミがすごい好きだし、俺だってこのままでも良いかなって思ってた」
顔だけじゃなく、耳や首まで真っ赤になっていくケイは黙ったままでいる私に悔しそうに眉をしかめさせた。
「他の奴らより、俺の方がずっと先にハスミが好きだった。でもハスミは良い子だから、俺だけに笑ってくれない。どんなに頑張ったって、俺だけのハスミになってくれない。俺は……ハスミ、だけなのに」
初めて見るケイの切羽詰まった姿に言い知れない感情が私を埋め尽くす。抑えようとしても無理で、ぷっと吹き出した私にケイが涙目になる。
「人が真剣に告ってるのに……!」