アウト*サイダー
うん、確かに真剣だ。
あの最初の告白に比べたら、全然違う。
「ごめん。あんまりハスミ、ハスミってうるさいから」
いつもと違ってケイが余裕をなくしているのが新鮮で、可愛い。
「あと……私の話し、まだ終わってない」
私の言葉に複雑そうな表情をしたケイが、私から手を離し、掴んでいた手摺からも離れると、二人の間に距離ができた。
「もう、いいよ。俺は何て言われようと諦めるつもりないし、嫌われたって好きでいつづけるから」
小さい子みたいに、軽く口を尖らせてそっぽを向くケイに再び込み上げる笑いを我慢する。
「私は誰かのものではないと思ってたけど……案外、“俺だけのハスミ”だったりするかもよ?」
話し始めてから耳をふさいでいたケイが、少しの間を置いて、私の方へ顔を向けた。
「……は、え? それって?」
理解出来ないって顔で混乱するケイに、とうとう我慢できなくなって笑い出す私の声で、授業をしていた教室から先生が出てきて、自分のクラスへ急ぐように促される。
私は途中までケイを引っ張って行き、彼の教室の前で別れる。その間ずっと間抜けな顔で真意を求めるケイが、今まで見てきた中で一番可愛いかった。