アウト*サイダー

* 変化



 一時間目の教科って何だっけな、と思いながら入った教室はいつもと違っていて、扉の前で立ち尽くす。

 皆、自由に席を移動していて、先生の姿が見当たらない。

「あれ、先生は?」

 自分の席について、隣の須賀さんに聞く。須賀さんは相変わらず睫毛を羽ばたかせていた。

「急病で自習」

 時間割を見ると本当は化学の授業だったから山谷先生が急病になってしまったらしい。男の人にしては線の細い先生だから、なんだか納得。

 自習ってことは遅刻もなしってことかな、と楽観的に考えていた私に刺さる横からの視線。須賀さんに目を向けてみる。

「何?」

「担任が自習って言いに来たときに出席付けてたからハスミン遅刻だよ」

 オーマイガッ!

 中学校ではオール皆勤取っていただけに、この遅刻は悔やまれるな。

 ……でも、ま、いっか。

 さっきのケイの姿を思い出して、溢れてくる笑いをなんとか堪える。

 人のあんな必死な姿なんて、そうそう見れるもんじゃないよね。

 好きって凄いことなんだな。

 私もあんな風に必死になれるのかな。
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