アウト*サイダー

 とほほ……と悲しい笑いに暮れていると、繋いでいた手がぎゅっと強く握られた。不思議に思ってケイを見上げる。

「ごめん、俺、何も知らなかった」

 しかめられた眉と引き結んだ唇。自分の事みたいに苦しそうな表情に、心に溜まった物がほどけていく感覚。

「私が何も言わなかったから。というか、こんなの小学生の時から当たり前だったし、今さらあんなのでしくしく泣く私じゃないから!」

 ケイの手を握り返す。それだけであったかい気持ちになって、イライラと尖っていたのがすっとなくなった。

 それで十分だと思っていたけど……

「しくしく泣いていいよ。俺と出会う前に泣いた分も、泣いていいよ」

 頭に乗せられた大きな手。屈み込んで優しい目を向けるケイに思わず泣いてしまいたくなる。

 それでも私は首を横に振って、深呼吸してから顔を上げた。

「泣いたら止まらなくなるから、やめとく」

「良いよ。ずっと傍にいる」

 ケイは首を振ったことで乱れた私の前髪を掻き分け、その後も髪を梳かして遊んでいる。

「やだ」

 しかし、私の一言にケイの手がぴたりと止まった。

「なんで?」

 何故かキレ気味な語気に、私もムッとする。

「嫌だから」
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