アウト*サイダー

「……なんで」

 私の頑なな雰囲気を感じたのか、ケイは言葉を詰まらせると、髪の毛に触れていた手を下ろした。

「やっぱ、あれは俺の早とちり? 俺のこと、ただの友達としか思ってない?」

 突然の話しに頭がついていかなくて、すぐに返答出来ない。

 今、その話してないよね!?

 私が泣くのと、付き合う話は別じゃないの?

「それは今、関係なくない?」

 思いやりが欠けていたかもしれない。焦ってそこまで頭が回らなかった。そう思った時にはケイの寂しそうな顔と遠ざかる背中があって、何度経験したか分からない後悔のため息が溢れた。

 自分のやるせなさに頭を抱える。

 馬鹿だ、馬鹿。そうだ、私は馬鹿だ。

 泣いていいよって言ってくれたのがめちゃくちゃ嬉しかったとか、ケイと付き合いたいって思ってるとか、言わなきゃいけないことが後から思い浮かんできたけど、全部遅い!

「遅いんだよ、馬鹿……」

 右腕に抱えた教科書がずれ落ちてくるから、両手で抱え直して、とぼとぼと覚束ない足で教室へ戻った。
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