アウト*サイダー
今朝のことがあるからなんだろうが、ケイはずっと黙ったまま、リョウスケと私の後ろをついて歩く。
「二人とも、今日ずっと体操服なの?」
リョウスケの半袖半ズボン姿にも申し訳なくなる。
「あぁ。教室で乾かしてるから帰る頃には制服着れると思うけどな」
本当に何てこともないのだと言う顔で笑う。それでも頭を下げずにはいられなかった。
「ごめん」
「何しょげてんの。本気で怒ってると思ってた? そんな訳ないじゃん。小学生ん頃よくああやって遊んでたの思い出して楽しかったし! な、ケイもそうだろ?」
「…………うん」
リョウスケが振り返って聞く。ケイは一瞬躊躇った後、笑って頷いた。
「ケイが、俺に笑いかけてくれた……!?」
ズキューン! と擬音が聞こえそうなくらいオーバーなリアクション(胸に手を当てて頬を赤らめる)を取るリョウスケ。すかさず、絶対零度の眼差しがケイから送られる。
「お前にあげる笑顔なんて、これっぽっちも持ち合わせちゃいない」
「無慈悲っ!!」
「俺を笑顔に出来るのはハスミだけだから」
目が合った私に微笑む、その普段通りのケイに、チクりとした痛みを感じた。何も言えないでいる私の様子を静かに見ていたケイが、隣に来て手をとった。