アウト*サイダー
すぐケンカするんだから……と、いつもなら文句を言ってやるけれど、私は言わなかった。
いつものこと。これが当たり前。
……ほんとかな?
ケイの優しさに甘えて答えを曖昧にして良いのだろうか? という疑問を抱きつつも、リョウスケの言った言葉が胸に引っ掛かる。
私達が三人で居られるのは友達だからなのだったら、ケイと私が付き合ったとき、リョウスケとは居られないのかな。
それは嫌だ。
今まで通り、三人が良いな。
「なー、リョウスケ、まだ着かないの」
「あとちょっと……って、お前なぁ! ケイが教室で食べたくないって我が儘言うから、俺の幅広い交友関係によって得られた情報を元に、ベストな昼食場所がないかなって探し……」
「で、まだ?」
「キィっ!! クヤシーっ!」
掴みかかりに来るリョウスケから、涼しい顔して身を交わすケイ。
打ち付ける雨音が近くに聞こえる。生徒がめったに使わない正面玄関の前。ケイの手が離れて、二人が言い合いながら入り口の方へ向かっていく。
私が男だったら、こんな風に悩まずにいれたのかな。あの中に何も考えずに入れたのかな。
「ありゃ? ハスミー、どしたー!」
「リョウスケがこんな遠い所を選ぶから、お腹空きすぎて動けなくなったんだろ」