アウト*サイダー

 止みそうにない雨と蛙の声。少し冷たい風が私達を通り過ぎた。

 正面玄関から出て、傘も持ってない状態でどこに行くのだろうと思っていたら、リョウスケは軒先の下を歩いていった。

 ケイと顔を見合せ、リョウスケの後ろを一列に並んでついていく。

 こうやって知らない所を歩いていると、つくづく自分の行動範囲の狭さを思い知らされる。皆、すごいな。自分たちだけの場所があったりするんだ。そう考えたらケイも、あの秘密の場所を見つけていたし。

 感心していた私から、不意打ちに鳴るお腹の音。しとしと、と降る雨の音よりも、ゲコゲコ、と歌う蛙の声よりも大きな音に、くすくすと潜めた笑い声がふたつ。

 脇道に咲いていた紫陽花さえ、不貞腐る私を愉快そうに笑う。

 どこに向かうか分からず、見馴れない景色に心踊らされ、冒険してるみたい……そう考えて思い出す。

 中学三年の夏休み。

 受験とか進路とか、将来の岐路という選択に人生で初めてぶち当たる年。その日は補修授業があって、学校帰りに図書館で受験生らしく勉強をしていた。

 隣では海に行きたいとか花火したいとかうるさい奴がいて、それを窘める私も実は遊びに行きたくてウズウズしていて。

『今日だけ受験生、やめよっか』
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