アウト*サイダー
強まっていた雨が少し小降りになって、霞んでいた景色に色が戻る。
残っている弁当のおかずが、私の箸によって細かく刻まれていき、リョウスケの手元にあるゴミ袋の端っこが、ネジネジと捻られていく。
サラさんって……?
「え? リョウスケ、前に会ったことあるだろ」
私も、リョウスケだって予想していなかった、その反応により流れる重い沈黙。
何言ってんだ、という顔をするケイに、リョウスケの瞬きする回数が増えた。私が彼を凝視すれば、尚一層に増えて、汗が滝のように流れ落ちていた。
「そ、そうだっけ? ……あっ……!」
何かを思い出したらしいリョウスケが見る見るうちに顔面蒼白になっていく。どうしたのかと様子を見ていた私の方へ視線を向けた……と、思ったら、不自然に顔を背けられた。
何か、ある。
何かあるから……私に言えない、何かがあるから、リョウスケは隠したがっている。
ふつふつ、と沸き上がる猜疑心。リョウスケに、そして、ケイに対しても。
「へー! こんなに美味しい料理を作れる人って、どんな人なの? サラさんって……」
最大限に口角を上げて目を細くしながら、二人の表情の隅々まで観察する。そうして、嘘つき狼供の嘘を曝してやろうと思ったのに……