アウト*サイダー
「ねぇ、ケイ?」
私の呼び掛けに、ゆっくり顔を上げるケイ。優しく目を細めて、私の言葉を待ってくれる。
「ケイの……自分のこと、話してくれてありがとう」
意外そうに見開かれた目。照れ臭さに顔から火が出そうだ。
「もっと、たくさん、ケイのことが知りたい」
私のこともケイに知ってほしい。そうすれば、さっきみたいに彼がいじけてしまうこともないし、私が不安になってしまうこともない。
言葉にして伝えるのが、こんなに恥ずかしいとは思わなかったけど。
「俺も、知りたいよ。……例えば、ハスミのスリーサイズとか、寝る時はどんな格好なのかとか、今日は何色のパンティーなのか……」
変態野郎がいらぬ事をこれ以上喋らないようにするため、両頬を思いきりつまみ上げる。「イテテテテっ!」とケイの悲鳴が轟く。
自業自得だ。人が真面目な話をしているのに、何がスリーサイズだ。
両手を離すと、ケイは涙目になって自分の頬を労るように手を当てる。
「う……暴力反対……」
下げた眉に、潤んだ目、尖らせる薄い唇。……無駄に人の母性をくすぐるのはやめて頂きたい。手も足も出なくなるのだから。