アウト*サイダー
* 翻弄
「はぁ、あっつい!」
最近までずっと続いた雨が嘘みたいに、カラッとした天気で、全身に感じる熱気に汗がわき出てくる。
「ほら、ハスミ。早く食堂行かないとパン全部売り切れるぞ」
この暑くなった気温でお弁当が駄目になってしまうという心配と、リョウスケがいつも食べている食堂お手製の惣菜パンの美味しさに目覚めてしまったおかげで、私もすっかり食堂のお世話になりだした。
だから、四時間目が終わると速攻で教室を出て、競歩並みに足を速めて廊下を突き進む。
「今日はケイ、来ないの?」
ケイはいつも付き添いで一緒に来ていた、のだけれど、今日はいない。
「あぁ、なんか、違うクラスの女子に呼び出されてた」
「え?」
え?
……心の声が外に出ていたことを気付かないほどの衝撃に、足も止まる。リョウスケのニヤニヤした表情さえ気にならない。
「この夏休み前に告ってしまおう、て考える奴は多いだろうなぁ。しかも、相手は中々の美人だったなぁ。あ、告るなら、あんまり人目につかない多目的教室とかがある廊下あたりだろうなぁ」
告る……て、告白のこと?
告白って、その中々の美人が、あのケイに?
「気になるか? ケイのこと」