アウト*サイダー
聞かれてやっと、気味の悪い笑顔を向けられていたことに気付く。もちろん、その頬っぺたを痛いぐらいにつまんでやった。
「くだらない事言ってないで食堂に早く行ってよ。私、今日はカレーパンが食べたい気分だから買ってきて。急用を思い出しちゃった」
「イテテ……て、はぁ!? カレーパンなんて滅多に買えない……っ!」
言い訳に聞く耳を持たずに、来た道を引き返す私の背中に「無かったらタマゴサンドだかんな!」という声が投げ掛けられる。
しかし、私は今それどころじゃない。
もちろん、ここの生徒には何故か不人気なタマゴサンドも美味しいから嬉しい。ただ、食欲とかどうでも良い。
ケイの所に行かなければ、という思いだけ。
前に彼が何人かの子から告白されたという話を聞いたことはあったが、私とリョウスケと三人でいるようになってから、そんな事はなかった。
いや、実際はあったのかもしれない。
私が知らないだけで、バイト先でもそういう人が居たって何ら不思議ではない。
むしろ、こんな事が起こるはずがないと思い込んでいた私が変なのだ。