アウト*サイダー
散ってしまった桜の花弁が土と混じってまだ残っていた。その奴の足の下で。
私はハルちゃんに、行こう、と目で合図をしてさっさと自転車のペダルを漕ぎ出す。
門を出て角を曲がる時、ちらりと見えた奴の姿。
少し猫背気味で、でもだらしない感じはなくて、怒るでもなく悲しむでもなく、ただそこに突っ立ったまま足下の花弁を見つめていた。
それから顔を上げて、不意に私と目が合う。
私は見てないふりをしようと後ろのハルちゃんに目を向けてから前に向き直った。
少しだけ自惚れてしまったのを誤魔化した。
告白を断った方が、断られた方より気にしてるなんて。
顔に熱が集まっているのは、いつもより自転車の速度が速いから。
言い訳なんかじゃないよ、ほんとだもの。