アウト*サイダー
ハルちゃんの声で俯いていた顔を上げれば、向こうからも誰かが来ていたらしく、慌てて立ち止まるが相手も気づくのが遅れて、ぶつかる瞬間に目を瞑る。
そして、次に目を開けたら……
「あれ、ハスミ? 大丈夫?」
何故か、ケイに抱き締められていた。
どうやら彼とぶつかった拍子に、後ろに倒れそうになったのを支えてくれた……のは良いのだけども。
「て言うか、ハスミ意外と石頭だな。ぶつかったところ、めっちゃ痛い」
至近距離にある彼の笑顔と回された腕の強さに思考が止まり、呼吸も忘れてケイの瞳に見入る。
蛍光灯の下で、彼の薄い茶色の目がきらきらしていた。こんな風に誰かをまじまじと見つめるなんて、いつもならしない。
すごく不思議だ。私も、ケイの目も。
呆ける私に気付いた彼も口を閉じると、顔を寄せてきて……
「何してんだよ、ケイ!!」
怒号とともに私から離れていった。
見れば、ケイと同じく体操着姿の長身の男の子が彼の首根っこを掴んで怒っていた。