アウト*サイダー

 階段を上りきって、ケイから姿が見えない所で立ち止まり、彼が行ってしまうまでやり過ごすことにした。

 だけど、この後どうやって教室に戻れば良いだろう。

 後悔先に立たず。昔の人はよくこんな言葉を言い得たもんだ、と、もやは訳の分からないことを考え出す。

 しかも、きゅるきゅるとお腹が食べ物恋しさに鳴き始めて、もうそろそろ行こうかと思った時だった。

 いきなり腕を引かれて、体が反転する。その先にいた彼に、文字通り心臓が飛び出そうになった。

「ハスミは全く俺のこと、分かってないよね」

「け、ケイ?」

 すごく熱いケイの手。それに触発されるように上がる体温と、どこかでこうして追いかけてくれることを望んでいた私の悪い部分が、どうしようもなく恥ずかしい。

「いい加減、分かってくれてもいいのに。わざとハスミの気を引こうとしたって。ここまで来てくれたことが、どんなに嬉しかったかって」

「……分かんない、し……ケイだって、私のこと分かってないよ」

 見つめるケイの目を見ていられなくて下を向く。

「分かってないって? ……じゃあ、教えてよ、ハスミ」
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