アウト*サイダー
そんなことないのに……私の気持ちも、何も知らないで、勝手なことを……!
「伊織さん、泣かないでよ。私達、別に悪意があって言ってるんじゃないって分かるでしょ? 友達なんだから」
河西さんが笑顔を浮かべて、俯いているハルちゃんの顔を上げさせる。
「ほら、笑って! 今から大好きな堀江君に告白するんだよ」
ハルちゃんを取り囲む彼女達の笑顔は、どれも酷いものだった。
どう見ても告白なんて出来る状態じゃないハルちゃんへ、口々に「頑張れ」「応援してるよ」とよく言えたものだ。
私は自分の体を押さえ付けるしかない。本当は今すぐにでも飛び出していって、彼女達の髪を引き掴んで地面に擦り付けてやりたい気持ちでいっぱいだ。
でも、我慢しなければ。
こっちが加害者になれば、彼女はここぞとばかりに叩きのめしに来る。クラスメイトに無視させる程度しか出来なかったのが大義名分のもと、堂々とそれが出来るようになるのだから。
そもそも、河西さんがハルちゃんに告白させようとしている意味が分からない。
いや、最初に難癖つけてきたのが、確か、堀江君とハルちゃんが話した後だったから、彼女に嫉妬していた……のか? それであえてこんな状況で、見世物みたいにしようと……?
ここまで考えても、その心境は全くもって理解できないし、したくもない。