アウト*サイダー
「河西。マネージャーがこんな所に部員呼び出してどうした? もうすぐ、部活始まるのに」
ユニフォーム姿で現れた堀江君に、河西さんは外面の良い笑顔へと豹変させて、ハルちゃんの腕を組み直した。
そんな彼女と緊張で顔色が良くないハルちゃんを見比べて、彼は何かを感じ取ったように一瞬だけ表情を曇らせたけれど、いつもの笑顔で首を傾げただけだった。
「ごめん、えっとね……実は、伊織さんが堀江君にどうしても話したいことがあって……ね?」
河西さんが組んでいた腕を離して、肩に手を置く。周りの取り巻きが調子の良い笑顔を顔に貼り付けながら、ハルちゃんの背中を押して堀江君の前へと進ませた。
ハルちゃんは今にも泣きそうで、でも、それが溢れてしまわないようにと両手をきつく握り締めていた。
「伊織さん……俺に、話したいことって?」
堀江君が背を屈めて、優しく問いかける。
ハルちゃんの後ろにいる河西さん達は、この告白の結末が分かっているのだと言いたげな表情で二人を見ていた。
……もう、我慢の限界だ。
頭の血管をすでに何本か犠牲にしている。
この落とし前は、きっちりつけてもらおうか!