アウト*サイダー

「……ごめん」

 堀江君は告白の意図が何なのか分からないのだろうが、困惑しながらも律儀に頭を下げていた。

「あー、そっかー、残念。あ、そう言えば、堀江君のこと同じクラスの子が探してたよ! 何か用事があるみたいだったから、早く行ってあげて」

 こっちはもう、堀江君に用はない。

「あ、あぁ、分かった」

 早口に捲し立てた私に圧倒されるように彼が踵を返す。けれど、何か言いたげに私と、間を空けてからハルちゃんに目をやる。

「どうしたの、堀江君」

 早く行けよ、という心の声が漏れないように、ニッコリ笑って手を振ったら……

「いや、わざわざ来てくれてありがとう。それと、君の気持ちに応えられなくて残念だけど、何か困ったことがあれば遠慮せず、俺に相談してくれていいから」

 こちらも負けじと爽やかな笑顔で手を振り返して、校舎の中へと入っていった。

 言葉の裏をどうしても読んでしまう私とは反対に、河西さんやその取り巻き達は頬を紅潮させていた。

 うわ、まじか。あんな背筋が寒くなる笑顔と、どう聞いても裏がある言葉で、そんな顔ができるなんて……

「あ、あの……ハスミちゃん」

 身震いするのを堪えていた私にかけられた彼女の声。ハルちゃんは私と目が合うと、また泣きそうになっていた。
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