アウト*サイダー
「ハスミ、落ち着いてっ!!」
いきなり届いた声と、私の動きを制止させるように後ろからお腹に回された腕によって、ハッと我に返った。
身を寄せ合う彼女達へ伸ばした私の手。私は彼女達を捕まえようとしていた。捕まえて、それから何をしようとしていたのか……考えたくない。
大人しくなったのを見計らって離れた彼の腕。呆然とケイを見上げた私に、彼は息を切らしながらだが、いつもと変わらない優しい表情を向けてくれた。
「な……何、今の。超怖いんだけど」
でも、彼女達の私に向ける反応の方が正しい。
「今のが田口さんの本性ってことでしょ。勉強が出来て、正義感のある優等生ぶってても、男に媚びる偽善者でしかない。言い返せずに暴力的になるなんて、もはや可哀想」
蔑む目で河西さんが私を見る。悔しいけど、これ以上私が喚き散らしたところで、話がややこしくなるだけだ。
それに、蔑まれることよりも、さっきの事のショックが大きかった。
もう、大丈夫だと思ってたのに。
「……それじゃあ、あんたらの本性はそうやってよく知らない人の在ること無いこと噂作って、周りに吹聴しまくることだろ?」