アウト*サイダー
いたずらっ子みたいに笑うケイは、そう言ってまた歩き出す。
私は、その手を引き留めていた。
「堀江君に告白したのは、嘘だから!」
簡単な話しだ。私は、モヤモヤと蓄積される重いものを、少しでも軽くしたかった。後で追及されて言い逃れるのも、尾ひれの付いた噂で彼に知られるのも嫌だった。
何より、ケイなら「分かってるよ」と言ってくれる気がしていた。
「……告白って?」
振り向いた彼の表情にたじろいだ。眉根を寄せて、冷たい目をしていた。
ケイは聞いてなかったんだ。あぁ、何て説明しよう。言い淀む私に、ケイは小さく溜め息を溢した。そんな些細なことでさえ怖くて、手を離そうとしたら……
「とりあえず、来て」
感情の起伏がない声で言って、私の手を握ったまま茂みの奥へと進んだ。
その場所は相変わらず誰もいなくて、元は喫茶店だった店の前にある通りも車がほとんど走っていない。
唯一、変わったのはベンチの傍らにパラソルが備え付けられていた。
ケイに引かれて、促されるままにベンチに腰掛ける。パラソルのことを聞いてみようとした……のだが、そんなことを聞ける雰囲気にないのを、さすがに感じ取って口をつぐむ。