アウト*サイダー

「私……ケイが好き」

 あっけなく、すんなりと出た言葉。

 でも、その後に来る、耐え難い羞恥心に胸の鼓動がうるさいくらいに響いて、とてもケイの顔が見られない。

 そんな私を傍目に、暫く放心状態だったケイが、ふとした瞬間、こっちに目を向けた。

「俺はもっと好き」

 破壊力抜群の、ちょっと照れながら目尻を下げる彼の笑顔にやられた。至近距離で、その笑顔は卑怯だ。

「俺以外にそんな可愛い顔して告白したのはムカつくけど」

 ん?

 胸を鷲掴みにする笑顔で、何か言いはじめたぞ。

「晴れて両想いになれたし」

 んん?

「キス、しよっか」

 はぁ!?

 何、ここは彼をキス魔にする魔法でもあるのか?

「ちょ、ちょっと、待って」

 容赦なく、近付いてくる彼の胸を押す。ケイはいじけたようにムスっと顔をしかめさせた……が、その所々に笑いを堪えているのが目に見える。

「ケイ、あんた私をからかってる?」

「そんなことないよ。まぁ、俺はいつでもハスミに弄ばれてるけどね」

 私から離れて背もたれに体を預けたケイ。彼は返事に困って黙った私に「別に責めてないよ」と笑ってベンチから立ち上がった。
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