アウト*サイダー

 それだけ言い残して行ってしまう後ろ姿。私は呆然と瞬きを繰り返す。

「……ハスミちゃん、顔真っ赤だよ」

 ハルちゃんの心配そうにも、面白がってるようにも捉えられる声。

 そして自分の体温の高さに気付く。

「猛烈に怒ってるの。腸が煮え“たぎって”るの」

「そう……腸が煮え“くり返って”るんだね」

 体温が更に上がったように感じる。

「…………私たちも行こう」

 隣からのクスクス笑い。

 私はわざと足音をドスドスたてて階段を下りる。

 すると上からドタドタ駆け下りてくる音。

「恐竜みてーな女!」

「怒ってるハスミ、可愛い」

 さっきの二人がニヤニヤして追い越していく。

「誰がっ! もぉっ……!!」

 全くもって腹立たしい奴ら!

 階下から面白がってモーモー鳴く二人!

 取っ捕まえてやろうとした時、校内に予鈴が響いて、二人が一目散に駆けていく。

 私とハルちゃんも顔を見合わせて、スカートが翻るのも構わず走るしかなかった。
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