アウト*サイダー

「ケイ?」

 どこに行くの?

 何で離れるの?

「暑いでしょ。日除けに家で使ってなかったパラソル持ってきたけど、こんな所にずっと居たら熱中症になるよ」

 蝉の鳴き声も、遠くに見える入道雲も、全部いらない。

「……待って」

 皆して告白、告白って。

 馬鹿みたいに焦って。 

「ハスミ?」

 私も、馬鹿みたいになっていいかな。

「好き」

 額から流れる汗が煩わしい。目に入ったのか、視界がえらくぼやけている。ケイがどんな風に私を見ているか確かめなくちゃならないのに。目を拭っても拭っても、全然良くならない。

 言ってしまった後悔はない。それは偽りのない気持ちで、一杯に溜まった水が器から溢れるように口が動いていた。

 ケイを誰にも奪われたくない。ケイに私の正直な気持ちを知ってもらいたかった。ケイは誰とも違う。

 背中を丸めて俯く私の足元に誰かが膝をついて、顔に手を伸ばしてきた。

「……ケイ?」

「うん」

 彼の大きな手が頬を包む。瞬きをして溜まっていた涙が大粒になって流れ落ちると、やっとケイの顔がちゃんと見れた。

「ハスミ、馬鹿だね」

「……何、で?」

 私に馬鹿と言うのはケイぐらいだろう。

「捨てられた子猫みたいに泣いて。そんな必要ないのに」
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