アウト*サイダー
ケイはひどく悲しそうで、私は不安になって彼の手に自分の手を重ねた。
「いつだって捨てられるのは俺だから」
何でそんなことを言うのか聞きたくても、まともな言葉が出てこない。しゃくりあげることしか出来なかった。
「ハスミ、好きだ」
唇に当たる柔らかい感触。
それは一瞬過ぎて、現実だったのかさえ定かじゃない。
「でもハスミの泣き顔見てると、もっと泣かしたくなる」
何気に酷いことを言われて、涙のダムが決壊中の目から次々と流れ落ちていく。今までにないくらい泣いて、もうしんどい。
「ごめん、ごめん。何したら許してくれる?」
上機嫌なケイが隣に座る。けど、今はとにかく私の感情が落ち着くまで何もしてほしくない。
私はポケットからハンカチを取り出して、涙だらけの顔を拭こうとしたが、それを取り上げられてしまった。
「ハスミ、自分でしたらゴシゴシ拭いちゃうだろ。俺が代わりにするから」
抗議するのも億劫で彼に任せる。ケイに見つめられながら、ぽんぽんと優しく拭かれて変な感じ。
そうか、いつもこういうことは私が彼にやってあげていたから違和感があるのか。
「少しは成長したね」
恥ずかしいところばかり見せていたから、冗談半分に言った。