アウト*サイダー

 きっと、普通のカップルなら何てことない出来事だった。私が必要以上に騒ぎ立てた。

 ほら、やっぱり、私には恋愛なんか向いてないのに。散々、思い知ったはずだったのに、告白なんかするから。

「ケイは、悪くない」

 呼吸も落ち着いて、普通に話せる状態になった私に彼が顔を上げた。その曇った表情に、胸が痛んだ。

「私が悪いの……だから……」

「自分が言った事の責任は持ってよ」

 私の言葉に被せて言った、彼の言葉の重みに口を閉ざす。

「好きって言ったり、そうじゃないって言ったり……俺は、そんなのは許したくない」

 正論すぎる正論に目の前が霞む。嫌だな、メソメソ泣くなんて。本当は一番なりたくない女になってしまっている。

「だけど俺も、ハスミが好きって言ってくれて舞い上がって……て、言い訳にしかならないけど、最低なことをしてハスミを怖がらせた。こんな俺を嫌いになっても可笑しくない」

 おそるおそる、ハンカチで私の頬を拭う。私が拒まないことに、幾らか安堵したケイは手を握った。

「一つだけ、聞かせてほしい」

 手の甲を彼の指がなぞる。冷たい手。私の体温が移るようにと握り返した。

「俺のこと、好き?」
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