アウト*サイダー
ふっ、と耳に吹き掛けられた温かい息。
その瞬間に私から短く吐き出された声。
早くも私を怒らせるケイは、ある種の才能があるが、変態も度を過ぎるとただの嫌がらせだということを躾しなければいけないようだ。
「ふざけてると本当に嫌いになるから」
「でも、ハスミの声がエロ……可愛すぎて」
へらへら笑う頬がほんのり赤い。
反省して、しょんぼりしていたあの姿はどこへ行ったのやら。
「へー、じゃあ、ケイにも可愛い声を出させてあげる」
一瞬、期待に目を輝かせるケイだったが、すぐに変わる。形の良い鼻をこれでもかという位につまみ上げると、悶絶して苦しむ彼のうめき声が轟いていた。
ケイの腕から離れて立ち上がり、ギブアップだと私の腕を叩く彼を見下ろす。
「残念ですねー。私みたいな気の強くて可愛げのない彼女に痛め付けられるなんて、そのお綺麗な顔がなんと勿体ないことか」
手を離せば、本当に残念なくらい鼻が真っ赤になって、少しだけ良心の呵責を感じる。
やり過ぎた。涙目のケイの隣に座り直す。
「えぇっと……大丈夫?」
彼は鼻を押さえてうずくまる。その背中を撫でて、様子を窺おうと顔を近付けた。