アウト*サイダー
[ Ⅱ ]
* 彼氏彼女
早く夏休みになれば良いのに。それか、夏休みが始まるまで学校を休んでしまいたい。
私は自分でも嫌になる程、イライラしていた。
朝から蒸し暑い中、自転車を飛ばして来て、学校に着いて靴箱を開けただけで、人をこんなにイライラさせることが出来るだなんて!
周りに目を配る。そして、どこかの物影に落ちていないかを。
「おはよ、ハスミン。……もしかして、また?」
空っぽな私の下駄箱を見て、須賀さんが呆れ顔になる。
その顔は以前に比べると薄くなった。彼女曰く、夏にフルメイクする気力が失せたのだとか。私個人的には、バサバサと羽ばたかせていた睫毛に若干恐怖を抱いていたから、こっちの須賀さんの方が話しかけやすい。
「スガっちゃん、ハスミン、おはよーっ!」
篠田さんのハイテンションな挨拶が、私と須賀さんとのギャップに差がありすぎて変な空気になる。が、しかし、篠田さんには関係ない。
「そこのゴミ箱にハスミンの上靴発見しましたー!」
サー・イエッサー! みたいな感じで献上される私の上靴。
三日目にして、私の気持ちは萎えていた。
何? 私の根性を叩き直そうとでもしてるの?
それなら、まず自分たちの腐りきった根性をもぎ取ってしまわないといけないだろうが。