アウト*サイダー
しかし、堀江君への告白がクラスメイトだけにしか影響がない訳がない。
……と最初は警戒していたが、だ。
「おはよう、ハスミ」
自分のクラスに行くために必ず通らなければならない教室の前で、奴は私を通行止めする。
「どうかした? いつも以上に可愛い顔して」
「そりゃ、どうも」
最近すこぶる調子の良いケイの、満面の笑みが辺りを眩しく照らしているようだ。負のオーラ全開の私に、よくもそんな顔を向けられる。
「うわ! また朝からよろしくやってんのなぁ。羨ましいぞ、このバカップル!!」
堀江君への告白が広まらない理由は偏に、ダイが馬鹿デカイ声で小学生並みのいじりをしてくるせいだ。
……この能天気さを、私に分け与えて欲しい。
「おい、ダイ! やめとけって、ハスミの顔見ろ。触らぬ神に祟りなしって言うだろ」
コソコソと耳打ちするリョウスケと目が合えば、彼は冷や汗を流してダイの後ろに隠れた。いつもなら、追っかけ回してやるけど。
「そりゃ、どうも」
やる気が出なくて、彼らの横を通り過ぎる。
昨日から始まった、一ヶ月の中で憂鬱な一週間のおかげでコンディションは絶不調。