アウト*サイダー

「大人なんて、ただ年取った顔をした奴らだ。たいして中身は俺らと変わらない」

 依然として、グラウンドに目をやったままケイが呟いた。

「店長とか肩書き持ってる大人だって、女の尻追ってばっかりの奴だっているんだし、出来た完璧人間なんて世の中どれだけ探したって出てこない」

 大分、過激な発言だけど、妙に納得してしまう。

「だから、そんなに身構えなくても良いんじゃない? 禿げたオッサンに、その自慢のサラサラヘアーを見せつけるくらい堂々としてれば」

 悪戯な笑いを浮かべて言った言葉に、私もリョウスケも吹き出していた。

 すごい真面目な顔して語っていたケイの横顔が絵になってるなぁ、と感心していたのを、全部そのオチに持ってかれた。

「やべーよ、本当に面接で禿げたオッサン出てきたら、俺、絶対笑っちゃって落ちるわ!」

「いや、逆に良いかもよ。緊張しないで済むじゃん」

「ハスミ、自分じゃないからって言ってんだろ」

 おどけて肩を竦める私に、やれやれと首を振る。今日も絶好調に綺麗な黒髪が、サラサラと靡いた。

「でも、リョウスケなら大丈夫だよ、きっと」

 これは本音。

 リョウスケが不思議そうに顔を向けた。

「リョウスケは気配り上手だし、優しいし、わりと格好良いし」

 最後のわりと、という部分でリョウスケが顔をしかめさせたけど、褒められていることの照れ隠しだろう。
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