アウト*サイダー
「なぁ、ハスミ」
隣に置かれた自転車のハンドルが私の自転車に重なってて、イライラしながら退かせようとしていたら聞こえた声。
ちら、と振り返ると、少し離れた所でこっちはすんなり自転車を出せたリョウスケが、それに乗ってペダルを漕がずに足で前へ進ませ、私の所まで来た。
「ん、何?」
いっそのこと、倒してしまおうか。誰か知らないけど、私の隣に置いたことを後悔させてやりたい。ま、出来もしないのだが。
「何で、ケイと付き合うことになったんだ?」
退かせようと動かした自転車。なのに、どうして余計に絡まったのか。私は手を離して溜め息を吐く。
リョウスケは、というか、私とケイの当事者しか成り行きは知らない。翌日には知らぬ間にダイの耳へ届き、報告も何もなく、付き合ったという事実だけをリョウスケも知ることになった。
恐らく、ケイ本人がダイに言ったのだろう。ただ、私と付き合ってる、とだけ。あとは彼の好奇心やら何やらが騒いで囃し立てて、周知の事実にさせるというケイのやり口だ。
私にとっても、友達の告白を妨害して自分が告った、なんていう事実がうやむやに出来たわけだから、とやかく言おうとも思ってはいない。その噂が広まっていれば、私は転校せざるおえない状況になるのは目に見えているし。